相続では、遺産を分割する場合、
どうすれば良いのかという問題があります。
もし、亡くなった人の遺産が、現金や、
銀行の預貯金、保険金などの遺産だけであれば、
最終的に現金を分けると良いので、分割しやすいと言えます。
しかし、亡くなった人の遺産に、株などの有価証券、
土地や建物(マンション含む)などの不動産、
自動車が含まれると、分割の方法が難しくなるわけです。
なぜなら、株などの有価証券については、
1つの株を二つに分けるというのは難しいからです。
また、土地や建物(マンション含む)などの不動産についても、
物(もの)自体が1つのため、
部分的に分割ということも難しいからです。
そのため、亡くなった人の預貯金は、相続人のAさんが相続し、
不動産については、相続人のBさんが相続するとなれば、
遺産分割もうまくいくでしょう。
ただ、そうは言いましても、そんなにうまく分割できることは稀で、
実際の遺産分割の現場においては、
分割しにくい遺産があっても、分割が必要な場合もあります。
たとえば、不動産は相続人のBさんが相続したいけど、
そうなると、Bさんが遺産の多くを取得することになり、
他の相続人との遺産分割の話し合いがうまく進まないことがあるのです。
そんな時にどうすれば良いのかと言いますと、
株などの有価証券や不動産、自動車については、
それぞれ評価額を計算して、現金に換算してから、
遺産の分割協議をする方法があります。
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たとえば、亡くなった人の遺産に、預貯金などの現金が1000万円と、
土地と建物の評価額合わせて2000万円の不動産があり、
相続人は、AさんとBさんの2名いたとします。
もし、二人で遺産を均等に相続したいといった場合には、
大きく分けて二通りの方法が考えられます。
まず一つは、不動産をどちらかが相続する方法です。
もし、Bさんが不動産を相続することにすると、
BさんからAさんに、現金500万円を渡せば、
遺産を均等に分割したことになります。
つまり、評価額2000万円の不動産をBさんが相続する代わりに、
Aさんは、預貯金などの現金1000万円を相続して、
現金500万円もBさんからもらうといった分割の仕方です。
たとえば、亡くなった人が残した不動産に、
相続人のBさんが住んでいたり、
何か思い入れがあって売却できない時には、
このような分割の仕方が考えられるのです。
法律用語では、このような分割の方法を、
代償分割と呼んでいます。
なお、不動産の評価額を決める方法については、
相続人同士で決めてもかまいません。
ただ、一般的には、土地であれば、路線価格で計算し、
建物であれば、市区町村の評価額で決めることが多いようです。
次に、もう一つの方法は、不動産を売却して、
現金化した上で、亡くなった人の預貯金と合計してから、
分割するといった方法です。
この方法なら、もし、不動産が評価額どおりに、
2000万円で売却できれば、
預貯金1000万円と合わせて合計3000万円の遺産になります。
そして、相続人AさんとBさんで、
それぞれ1500万円を相続すれば、
均等に分割ができることになるのです。
法律用語では、このような分割の方法を、
換価分割と呼んでいます。
いずれの分割方法も、相続人全員が納得していれば、
相続人の話し合いによって、
どの方法を選択しても、相続人本人達の自由ということです。
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